イメージ本文 心理学者は、このイメージの世界を探求する方法として投影法という技法を用いている。 これは一例をあげると、ローシャッハ・テストと言われるもので、インキのしみの様な漠然とした図形を見せてそれが何に見えるか尋ねるのである。*賛否有り 夢、神話、投影法の反応等を通じて明らかにされるイメージの世界を探ってゆくのであるが、その中で特にユングが「影」と名付けた物を中心にして行こうとするのが本書の目標である。 *以前あるカウンセリングの講習に参加した時、講師役のカウンセラーが、クライアントが娘との親子関係でも悩みを話した時 「あまり考えないで、直感的に、今ぱっと浮かんだ子供の頃の自分を思い浮かべてください、どういう自分がいますか」 と尋ねると クライアントは 「お母さんの帰りを二階のベランダから道路を見ながら待っている小学生の自分」 と答えました それに対しカウンセラーが 「今の気持ちは」 と尋ねると 「寂しい」 とクライアントは答えました。 クライアントは母子家庭で育ちいつも母親の帰りを一人で待っていたそうです 彼女の無意識にはいつも、子供の時分に母親の帰りを一人で待っていた寂しかった思い出が存在し、それが現在の自分の意識に影響を与え続けていたのです カウンセラーはそれを知るためにあえてカウンセリングの最中に浮かんだイメージを聞いたのです 本文 イメージとしての影が人間にとって如何に大切であるかをすでに示して来たのではあるが、これに対してユングが影と呼ぶものはどのようなイメージであるかを次に明らかにしたい。 |